「As Much As Possible」 3年B組銀八先生! 銀八×桂 ※ 18禁 2010.01.10 OUT オフ92p \800 表紙イラスト:秋雨様 サイト3Z加筆修正再録本です。 書き下ろしはちょこっとだけです…;出会いから桂18歳の誕生日までです。 ぬるいですが、性的描写が含まれますのでご注意ください。 |
【冬のレンズ】 補習開始から一時間も経たないうちに、銀八は教壇に突っ伏してしまった。はずみで教壇に置かれたいちご牛乳がゆれる。 「先生、大丈夫ですか」 「……大丈夫かって?」 銀のくせ毛が起きあがって、その下からむっつりと不機嫌な顔がのぞく。 「大丈夫なわけねーだろーがァァ!!もー疲れて頭おかしくなるわ、コノヤローっっ!」 「疲れたって、まだ一時間も経ってませんよ。このくらいで疲れるなんて、まったく軟弱ですね」 「テメーのせいだろーがよ!!」 銀八は力いっぱい教壇に拳を叩きつけた。またいちご牛乳がゆれる。中身が軽くなった紙パックは、今にも倒れてしまいそうだ。 「テメーが意味わかんねー解答ばっかしやがるから、俺がこんな目にあってんだよ!わかってんのか、その辺っ!なんで理由を聞いてる問題の答えが、『エリザベスの冒険第二部』冒頭部分になってんだよっ」 「いや、だからそれは」 「口答えすんじゃねぇッ!!」 銀八がぴしゃりと言い放つ。眉間にしわを寄せ、肩をいからせて立ちあがり、チョークが折れそうな筆圧で黒板に「理由」と書きなぐる。その硬い音がやけに耳について、桂もまた顔をわずかにしかめた。 「いいか、最初に教えただろーが!国語ってのは単純なんだよっ」 銀八はさらに黒板に「〜(だ)から」「〜(な)ので」「〜ため」と書いていく。勢いが強すぎて白衣の裾がゆれて、白い粉が床にまで落ちた。 「『理由』を聞かれたら、解答の語尾はこうなんのが基本なの。それから、どんな問題も答えは必ず本文中にあるから。てめーの頭の中には一切存在してねーから!何度言ったらわかんだボケがァァァ!」 最後に「本文中から答えを探す」と書いたとき、あまりの筆圧に耐えられなくなって、ついに哀れなチョークはポッキリ折れた。 「ったく……」 深くため息をついてから、銀八は粉っぽくなった手を白衣の裾でぬぐう。こうして日々彼の白衣は薄汚れていくのだ。桂は黒板を几帳面にノートに書き写した。 「あーもー、また疲れた。今のでスゲー疲れたっ。キューケイすっぞ」 黒板を写す桂を無視して、銀八は黒板をきれいに消し、桂を誘った。 To Be Continued… |