強さについて 万事屋の居間では、いつものメンバーがだらだらと時代劇を見ている。 その中にちゃっかり桂も混ざっている。 16時からドラマの再放送が見たいらしい。 かぶき町で用事を済ませたら、15時半を回ってしまったから、と桂は言った。 「家に戻っていては間に合わんのだ!」 いつになく真剣な様子で頼み込む桂に、銀時は「帰れ」といってケリを食らわせた。しかし玄関先に崩れ落ちた奴が「じゃあこれで頼む」と、んまい棒チョコ味といちごみるく味を出してきたので、仕方なく許可してやったのだ。 テレビでは、時代劇お決まりの殺陣が繰り広げられている。 芝居とはいえ、なかなか迫力がある斬り合いに、神楽が「かっけーアル!超強ぇヨ!」と歓声を上げた。 新八はお茶を出しながら、昔姉上とよく見ました、と懐かしがる。 「一番強いのは誰アル?このじーさんアルか?」 「いや、強さでいうならこの二人だよ」 「いや、ドラゴンボーズの小林だって」 「いや、工場長のほうが強い上に生産的アル」 「まだ工場長ネタ引きずってるの?神楽ちゃん」 「いや、銀時だろう」 桂の一言に、銀時は一瞬固まった。 二人の目が合う。 「ヅラ・・・」 銀時は嬉しそうな、それでいて切なそうな複雑な表情で桂を見つめる。 「そういうわけだから攘夷活動に参加し」 桂が最後まで言いきらないうちに銀時のケリが入った。 「フギャアア!」 肝心の再放送が始まったのに、銀時と桂はケンカにエキサイトして見ていない。良い大人なのに、いつまでたっても子供のような二人を尻目に、子供たちはドラマを見ている。 「たしかに銀ちゃんは強いけど、銀ちゃんのケリくらってもピンピンしてるヅラも相当強いアルな」 「ほんと、そうだね。強さがほとんど無駄になってるけどね・・・」 一段と大きくなった二人の言い争う声に、神楽が黙って音量を上げた。 |
ウッカリカプ要素少な目になりました…
よろずやに溶け込んでいる銀桂が好きです
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