思考停止










 なんで俺たちは汗だくでこんなことをしているのかと、いつも銀時は思う。
 桂は大人しく腕の中におさまってはいるものの、良さそうなのか悪そうなのか、結局銀時にはよくわからない。
 その時の桂はいつも苦しそうな声をあげ、けれど腕はしっかりと銀時を求めてすがりついてくるのだから。
 正直きっと、こいつも自分でよくわかっていないんじゃないか、というのが、最近の銀時の考察だ。
 それならどうして、こいつは俺に抱かれるんだろうか。
 いつもそこまで考えて、銀時は思考を止める。
 握った手が熱くて、汗ばんでいる。その手に痛いほど力を入れて、ひたすら忘我するほどの快感に酔う。
 熱に浮かされた桂のくちびるを奪って、そのまま完全に思考を止めた。


 ここから先を深く考えて、深みに嵌ったらどうなる?
 きっとこのソファでこいつを待ちながら、毎日悶々と過ごすんだろう。
 テレビのニュースを見ては、不安になるのかも知れない。
 そのうちきっと、彼のための食器やらタオルやら、余計なものを抱え込む。
 そして、彼がいない間には、その余計なものをぼんやり眺めたりするだろう。


 そんな銀時の考えを知ってか知らずか、桂はただ達したばかりの彼の髪をくしゃくしゃ撫でた。
 銀時はいつまでも、その手の優しさに気づかないふりをするのだった。



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