不満ばかりでも









嫌なところを挙げれば、キリがない。



攘夷党の党首ともなると、プライベートに関する質問も少なくない。
こんな質問をされたことがある。

「恋人に対する不満はありますか?」

3秒考えたところで既にウンザリするほど思いついてしまったので、潔くその質問は無視した。



まず昼間から賭博にうつつを抜かしているのが気に食わない。
こうして話していても、人の話なぞほとんど聞いていない。自分勝手で適当で、奔放だ。

いちご牛乳なんぞ飲んでいるのがまた腹立たしい。
それを飲んだ後にくちづけてくるのは、はっきり言って許し難い。乳臭くて気持ち悪い。

その時に甘えるような声を出されると、破壊衝動に駆られることがある。まして甘えた声での要求が、とてつもなく卑猥なものであることには、呆れさえする。

俺はこの男の多くの表情を見てきた。
もちろん、この男も俺のことをよく知っている。互いの欠点など知り尽くしている。
けれど未だに知り尽くせないことがある。
この男が俺を愛しているということと、俺がこの男を愛しているということだ。
大体、愛なのかどうか疑わしいことも多々ある。「愛情」という言葉では片付けられないほどの様々な想いと時間を共有してきた。だが、銀時が俺の帰り際に苦い表情を隠しているところや、俺が万事屋を訪ねていない日数をなんとなく数えてしまうところなど、些細なところに感じるのは、確かに愛情なんだろうと思う。


銀時は、目の前で俺の持ってきた菓子を食べている。
銀時は俺より菓子を目当てにしているが、そんな菓子ひとつで簡単に家に上げてしまうあたり、相当俺に甘いのではないかと思っている。

そしてそんな彼に、わざわざいちごプリンを選んでしまうあたり、相当俺も奴に甘いんだと思う。




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